宇治茶発祥の地といわれる宇治市五ヶ庄。当園は先祖から受け継いだこの地で、宇治の伝統的な栽培方法である「覆い下栽培」(注1)「自然仕立て」(注2)にて茶を育て、一番茶のみ・手摘みのみにこだわって茶を摘採・加工しています。
注1)遮光資材でおおわれた茶園で新芽を育てる栽培方法。遮光期間は約一か月。
注2)一番茶を摘み終えると膝下の高さまで茶樹を刈り落とし、次の茶摘みまでの約一年間、茶の木本来のあるがままの自然の姿で成長させる生育方法。
中でも、16世紀後半から続く栽培法である天然の葦と稲わらを遮光に用いる本ズ栽培で育てた、当園の碾茶「本ズあさひ」は、例年、各品評会にて高い評価をいただいています。
私たちの先祖がいつから茶づくりを始めたのかは定かではありませんが、江戸時代後期には茶を作っていたと思われます。
屋号は “嘉兵衛” 。先々代、先代、当代とその名に “嘉” の字を持ちます。
その昔、すべてが手作業であったころは、たくさんの男衆(おとこし)さんが製造を担い、大勢の摘み娘(つみこ)さんが六月の縣神社のお祭りの時期あたりまで茶を摘んだといいます。
しかし、茶を作る工程は昔も今も変わらず。重なる風景が沢山あります。