生産農家である当園では現在4品種の茶を栽培しています。
そのうち、あさひ・さみどり・うじひかり は宇治の在来種の中から選抜されたもので、宇治品種と呼ばれます。
あさひ
一葉一葉が大きく薄く、柔らか。手触りは滑らかでするすると気持ちが良いです。若い芽の香気は群を抜いて素晴らしく、うまみも濃く独特なものがあります。
宇治品種の中でも、ここ、宇治・五ヶ庄で品種として見出された種で、選抜者である平野甚之丞さんは「それは多くの在来種の中でも一際輝いて見えた」との言葉を残された、と伝え聞きます。しかしながら、その栽培には手がかかり、気をもむこともしばしば。茶摘みに適した期間が短いことから栽培面積を増やすことが難しく、なかなか収量が増やせません。
例えるなら “気難しい貴婦人” といったところでしょうか。
さみどり
いうなれば “茶園の優等生” です。
茶摘みに適した期間が長く、収量も多いので、当園だけでなく宇治の手摘みの碾茶として一番多く栽培されている品種ではないでしょうか。水分が多く軸がしっかりしていて摘みやすいことから、お茶摘みさんに人気があります。
深く豊かな味と香りがあり、宇治在来種ならではの、上品でくせのない穏やかなうまみを持ちます。
さえみどり
“さえみどり” は鹿児島・枕崎で育成された品種で、早生品種です。
煎茶・玉露にもよく用いられ、うまみが強く、穀類のような香りに特徴があります。
霜に弱く長期間の被覆にも弱いという、まさに暖かいところの生まれといった感はありますが、そのうまみが好評で人気があります。
うじひかり
その名の通り、宇治生まれの宇治育ちです。
茶摘みに適した期間が短く、細かく葉がつくので、少々お茶摘みさん泣かせでもあります。
まるで揮発性を持つかのような独特の香りを持ちますが、しっかりと覆いをすることによりその独特な香りが素晴らしい覆い香(青のりのような碾茶ならではの芳香)となります。
うじひかりの持つ上品な味と香りは、まさに “宇治の茶” そのものです。